当初エヴァンス派と言われていたFred Hersh
エヴァンス派という言葉を評論家さんがよく使いますが、Fred Hersh(フレッド・ハーシュ)もそれに属する後継者と言われていました。
しかし、今では、発展させた自分のスタイルを確立し、たくさんの有名な後進を輩出しています。ブラッドメルドーもその後進の一人。
最初はカルテットで演奏してた頃に教えてもらったことがきっかけでした。
彼の書く楽曲を聴いたとたんに衝撃を受け、何か僕が求めてた響きがまさにここにあり、って感じでした。
彼はソロや歌伴のCDも素晴らしく、すっかり魅せられてしまった僕は、ついに日本公演や、ニューヨークへ聴きに行くまでになりました。
NYでの写真は今でも一番の思い出です。
このCDは同じ頃に出た、有名なビレッジバンガードのトリオのライブ盤ですが、残念ながらこのライブには行けませんでした。
でも、彼は専属の調律師を持っており、秀逸なエンジニアもついているおかげで、このCDを良い音響で聴くと正にそこのお店にいる感じすらします。
ここに収められてる楽曲はウェイン・ショーターの曲もありますが、この後、彼のライブではよく取り上げています。決して軟派ではないインプロビゼーションだと感じます。
とにかく彼のピアノはとても美しいタッチと、サウンドの泣かせどころが絶妙。このアルバムにおさめられたオリジナルも好きな物ばかりです。
At The Villege Vangard / Fred Hersh Trio (2003)
- Bemsha Swing
- At the Close of the Day
- Phantom of the Bopera
- Endless Stars
- Swamp Thang
- Stuttering
- Some Other Time
- Days Gone By
- Miyako/Black Nile
- I’ll Be Seeing You
レーベル: Palmetto Records
JAN: 0753957208820
歌の伴奏のアルバムも魅力的
Fred Hershは歌手とのCDも数多くありますが、その中でも一番好きなのはマンハッタントランスファーのリーダー、ジャニスシーゲルとのSlow Hot Wind。あまりの美しさに、出だしのFor All We Knowから琴線に触れました。
スタンダードの渋い選曲ももちろんいいですが、ビートルズ、スティング、ブラジルのジャバンの曲なども、自然な感じで収録されています。
いろいろな凝ったコードに変化させるアレンジも面白く(彼のアルバムでそう言う物もありますが)普通のコード進行でもとても美しい。
ピアノの音色がいいのはもちろん、和音の積み方や、内声の動きも複雑で、メロディが伸びてる所や休んでるところには面白い美味しい和音を入れたりしています。
このCDのおかげで、僕が歌の伴奏をすることが好きになったのは間違いないです。
普段、歌伴奏では、一段楽譜を初見で読んで伴奏しますが、彼のやり方を学ぶうち、楽譜にない色付けなど、自分ならでの伴奏の楽しみを見出せたと思います。
Slow Hot Wind/ Janis Siegel with Fred Hersh (1995)
- For All We Know
- Who Are You / I Remember You
- For No One
- Slow Hot Wind / Moon And Sand
- The Shining Sea
- Goldmine
- Agua
- Sister Moon
- Alone Together
- Love Came On Stealthy Fingers
- Make Sure You’re Sure
- Softly As I Leave You / Not Like This
レーベル: Varese Sarabande
JAN: 0766482081844
宮下博行― HIROYUKI MIYASHITA
大阪出身のJAZZピアニスト。作曲・編曲も行なう。
数多くのオリジナル曲と、JAZZスタンダードのアレンジを収録したアルバムを発売。
ヨーロピアンサウンドと評されるの美しいピアノで多くの人を魅了し続けている。
ライブ活動は関西が中心だが、年に数回関東でも行っている。